彼女の持つ視点の面白さを語るうえで欠かせないのが、大学時代に学んだ建築・都市環境システムというバックグラウンドだ。彼女が描くイラストや街歩きのエッセイを読めば、ただ「かわいい」「レトロ」という言葉だけでは片付けられない構造的な美意識に気づかされる。
古い建物の意匠、路地裏の継ぎはぎされた壁、通り過ぎる人々の営みの気配。それらを立体的な空間として捉えつつ、人間味のある温かい物語として再構築する。この理系的な客観性と極めて叙情的な主観の絶妙なバランスこそが、彼女にしか作れない「街歩き」のカルチャーを形成していると言えるだろう。