SALLYが世に出た1984年は、前年秋にメジャーデビューしたチェッカーズが「ギザギザハートの子守唄」「涙のリクエスト」などを連発し、社会現象を巻き起こしていた真っ只中でした。ルックスの良さと確かな演奏力を併せ持つ6人組という共通点から、音楽メディアはこぞってSALLYを「チェッカーズの最大のライバル」として大々的にフィーチャーします。
しかし、バンドの初期経歴を振り返ると、彼らの本質は極めて本格的なガレージロックやロックンロール、R&Bに根ざしていました。原宿や渋谷のライブハウスシーンで地道に腕を磨き、自ら楽曲も手掛けていた彼らにとって、大手芸能事務所主導の「80年代アイドルロックバンド」としての過激な熱狂は、名声をもたらすと同時に大きな戸惑いを与えることになります。
雑誌のグラビア撮影やバラエティ番組への出演など、音楽以外のスケジュールが過密を極めるなかでも、彼らはライブステージにおいてタイトでエッジの効いた生演奏にこだわり続け、同世代のバンドキッズからも熱い視線を集めていました。