映画『浅田家! 』実話の真相と現在|二宮和也主演作の感動裏話

映画『浅田家! 』実話の真相と現在|二宮和也主演作の感動裏話

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映画『浅田家!』の根幹をなすのは、写真家・浅田政志氏が歩んできた波乱万丈かつ愛に満ちた半生です。映画の公開後、「どこまでが本当の話なのか」という疑問が多く寄せられましたが、劇中で描かれた破天荒なエピソードの大半は、驚くべきことに紛れもない実話に基づいています。

専門学校時代の卒業制作として、浅田氏が「一生に一枚しか写真を撮れないとしたら何を撮るか」という問いに向き合い、選んだのが「家族全員でのなりきり写真」でした。幼少期に自身が巻き起こした怪我の記憶から着想を得て、父、母、兄を巻き込み、近所の消防署に直談判して消防士に扮した1枚を撮影。これがすべての始まりでした。

上京後、フリーター生活を送りながらも年1回のペースで実家に帰り、ラーメン屋、極道、レーサー、ヒーロー戦隊、選挙運動など、家族全員が全力で設定に入り込むシチュエーション写真を撮り続けました。自著の手記や当時の特番インタビューにおいて、浅田氏は「家族全員が協力してくれないと成立しない。シャッターを切る瞬間よりも、みんなで衣装を揃え、大笑いしながら準備する時間そのものが家族の絆だった」と振り返っています。

2008年、自力で持ち込みを続けてようやく出版にこぎつけた写真集『浅田家』(赤々舎)は、異例のスマッシュヒットを記録。2009年には、若手写真家の登竜門として最高峰の権威を持つ第34回木村伊兵衛写真賞を受賞します。無名の若手写真家が一躍時代の寵児となった瞬間でした。

しかし、栄光の直後に起きたのが2011年3月11日の東日本大震災でした。かつて家族写真を撮影させてもらった被災者の安否を気遣い、単身で岩手県野田村へと向かった浅田氏は、写真家としてシャッターを切ることができず、深い無力感に打ちのめされます。そこで出会ったのが、津波の泥にまみれた写真を水で洗い、持ち主に返す活動をしていた青年でした。浅田氏はカメラを置き、ボランティアとして泥だらけのアルバムを1枚ずつ丁寧に洗い続ける日々を選びます。この活動が、もう一つの原案本である『アルバムのチカラ』へと結実していきました。

斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。