「性懲りもなく」を巡る最大の落とし穴は、自虐のつもりでビジネスの対面やメールに持ち込んでしまう致命的な誤用です。
商談や再提案の場で「性懲りもなくまたお邪魔いたしました」「性懲りもなく再見積もりをお持ちしました」と口にするビジネスパーソンが散見されます。発言者本人は「何度断られても熱心に通う自分」を少しユーモラスにへりくだったつもりかもしれません。しかし、言葉を受け取った相手からすれば「前回の失敗や断られた理由を真摯に反省していない軽薄な人物」「こちらの指摘を痛手とも思っていない図太い輩」という最悪の印象を与えかねません。
相手を指して使うのは言わずもがな厳禁です。部下や後輩であっても「性懲りもなく同じミスをしたな」と公然と言い放てば、指導の枠組みを超えた人格否定・パワーハラスメントと捉えられるリスクが跳ね上がります。
フォーマルなビジネスコミュニケーションにおいては、文脈に応じた適切な敬語への言い換えが必須となります。
【自分が再提案・再訪問を行う場合の言い換え】
- NG例:「性懲りもなく、再度ご提案資料を持参いたしました。」
- OK例(標準):「幾度も恐縮に存じますが、前回のフィードバックを反映した新企画書をお持ちいたしました。」
- OK例(丁寧):「度重なるお願いとなり誠に恐れ入りますが、今一度ご検討の機会をいただけますと幸甚に存じます。」
【他者の粘り強い挑戦を敬意を持って表現する場合の言い換え】
- NG例:「彼は性懲りもなく新事業にトライしている。」
- OK例:「彼は不屈の精神をもって果敢に新事業の開拓へ挑戦を続けております。」
- OK例:「幾多の試練にも決して諦めることなく、真摯に検証を重ねる姿勢に敬意を表します。」