ネット上の掲示板やSNSで定期的に浮上するのが、「『ファーストクラス』は過激ないじめ描写や沢尻エリカの過去のトラブルが原因で、テレビ局から永久封印された」という言説です。しかし、民放キー局の編成関係者への取材や放映権利の構造を紐解くと、事実はまったく異なる文脈にあります。
再放送が極めて困難となっている第1の理由は、「あまりにも豪華すぎるキャスト陣の権利調整コスト」です。後述する相関図の通り、本作は主演の沢尻エリカをはじめ、菜々緒、佐々木希、板谷由夏、木村佳乃、夏木マリなど、各芸能プロダクションの看板俳優が贅沢に集結しています。地上波の再放送枠(主に関東ローカルの午後帯)は広告出稿単価が深夜帯よりも抑制されているため、これだけの主役級キャスト全員の再許諾料や劇中BGMの音楽原盤権を支払うと、局側が完全に赤字化してしまうというビジネス構造が存在します。
第2の理由は、民放公式配信プラットフォーム(TVerおよび局独自のFOD)への戦略的移行です。フジテレビは2020年代以降、過去のキラーコンテンツを地上波で無料再放映するよりも、自社サブスクリプションであるFODプレミアムの独占コンテンツとして囲い込み、課金誘導のフックにする方針を明確に打ち出しています。実際、配信プラットフォーム上では何一つ規制されることなく、第1期・第2期ともにノーカットで配信が継続されています。つまり「放送できない禁忌のドラマ」なのではなく、「配信ビジネスの優良資産として温存されている」というのが業界のリアルな内幕です。