新宿エリアに構える「牛かつもと村」の店舗前を通ると、目を疑うような長蛇の列に圧倒されます。2026年現在の定点観測データによると、平日ランチタイム(11:30〜14:00)で平均45分〜75分、ディナータイム(18:00〜20:30)で60分前後の待機時間が常態化しています。さらに土日祝日ともなると、ピーク時の待機時間は90分〜120分に達するケースも確認されています。
現場を観察して際立つのは、並び客の実に7割から8割強がインバウンド(訪日外国人客)で占められている点です。韓国、台湾、中国をはじめ、北米や欧州からの観光客がスマートフォンの画面を片手に列を作っています。この現象の背景には、TikTokやInstagram、RED(小紅書)といったグローバルSNSにおける爆発的な動画拡散があります。「サクサクの衣×ピンク色の断面×立ち上る香ばしい煙」という視覚と聴覚を刺激するショート動画がバイラルを起こし、「東京へ行ったら必ず食べるべき体験型グルメ」としての地位が完全に定着したためです。
また、牛かつの提供自体は注文から数分と極めて迅速ですが、客席の平均滞在時間が40分〜50分と一般的な定食店より長めである点も行列が伸びる物理的要因です。卓上の固形燃料付きミニ鉄板で一切れずつじっくり焼きながら味変を楽しむ食事スタイルは、どうしても回転率を緩やかにします。限られた客席数(各店舗とも10数席〜20数席規模)に対して国内外からの圧倒的な需要が集中し続ける構造こそが、新宿における驚異的な待ち時間の根本原因です。