沈黙を守っていた小保方氏が沈黙を破ったのは、2016年1月に講談社から上梓された手記『あの日』でした。発売直後からベストセラーとなった同書では、実験ノートの管理や研究データの扱いにおける自身の未熟さを認めて謝罪しつつも、論文作成を主導した上層部や共同研究者との生々しいやり取りが赤裸々に綴られています。
手記のなかでは、メディアによる過激な取材攻勢によって心身ともに限界まで追い詰められていた実態や、理研内部における権力構造の歪みが告白されています。「なぜ自分一人だけにすべての責任が押し付けられたのか」という悲痛な叫びは、単なるスキャンダルの枠を超え、巨大組織における若手研究者の脆さを浮き彫りにしました。