松田陣平を語るうえで避けて通れないのが、アニメ第304話(原作36巻〜37巻)のスペシャルエピソード『揺れる警視庁 1200万人の人質』で描かれた衝撃の殉職劇です。彼の命日となった11月7日、杯戸ショッピングモールの観覧車(72番ゴンドラ)に仕掛けられた特殊な爆弾の解体に、松田は単身で挑みました。
爆弾のタイマーが刻一刻と迫るなか、松田の優れた技術をもってすれば解体そのものは数分で完了するはずでした。しかし、爆弾に仕込まれた液晶パネルには、犯人からの冷酷なメッセージが表示されます。
「勇敢なる警察官よ…もう一つの、さらにもっと大きな爆弾のあり処を、爆発の3秒前に表示してやる…」
もし目の前の爆弾を解除してしまえば、パネルの表示は消え、大勢の市民が集まる「もう一つの爆弾(米花中央病院)」の場所を特定できなくなってしまう——。松田陣平が下した殉職の理由は、まさにこの「自らの命と引き換えに、次の爆弾の設置場所を同僚たちに伝えること」でした。
爆発まで残り数秒。松田は解体の手を完全に止め、液晶に浮かび上がった「米花中央病院」の文字を目視すると、携帯電話から捜査一課の同僚・佐藤美和子刑事へとメールを送信します。その文末に添えられていた追伸こそが、作中屈指の名言として語り継がれる一言でした。
「あんたの事 割と好きだったぜ」
爆音とともに観覧車が炎に包まれた瞬間、松田陣平はわずか26歳という若さで殉職しました。恐怖に怯えることなく、プロの矜持と仲間への想いを胸に散った彼の最期は、佐藤刑事の心に消えない傷を残すと同時に、読者に計り知れない衝撃を与えたのです。