日本のラゲッジ・バッグ製造業は、世界でも稀に見る成熟と進化を遂げてきた。その先頭を走り続けてきたのが、創業者の吉田吉蔵が掲げた「一針入魂」の精神を愚直に受け継ぐ吉田カバンだ。丁寧な縫製と卓越した素材選定は、過酷な使用環境でも型崩れを起こさず、長年の愛用に耐えうる堅牢さを誇る。時代がデジタル化しようとも、掌に馴染むハンドルや心地よいファスナーの滑りといった触覚の快楽は、職人技の賜物に他ならない。
これと対をなすように、徹底的な機能工学と市場データから現代の正解を導き出すのがエース株式会社の底力だ。ビジネスバッグのパイオニアとして培われたノウハウを凝縮し、重心のブレを防ぐハーネス構造や、満員電車でも前抱えしやすい薄マチ設計など、都市生活者のペインを的確に解消するプロダクトを次々と世に送り出している。伝統的なクラフトマンシップと近代的なインダストリアルデザイン。両雄が競い合う日本のものづくり市場は、今まさに一泊用ギアの黄金期を迎えている。