マンハッタンの冷たい風が吹き抜ける街角で、二人の物語は静かに始まった。お相手は一般の日本人女性。芸能界の華やかな喧騒とは無縁の世界で自立した人生を歩んできた人物だ。小出恵介が語学学校に通い、演技学校で一から演劇メソッドを学び直していた極貧の修行時代、二人は偶然の出会いを果たした。
当時の彼は、過去の栄光も知名度も通用しない一人の留学生に過ぎない。偏見を持たず、目の前にいる等身大の「小出恵介」という人間そのものを受け入れた彼女の存在は、傷ついた彼の心をどれほど救ったことか。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ニューヨークが都市封鎖(ロックダウン)に見舞われた過酷な日々を共に支え合いながら過ごす中で、二人の信頼関係は決定的なものへと昇華した。
「どんな時も前を向き、僕の挑戦を信じてくれた」。沈黙を破って明かされた結婚の背景には、飾らない日々の対話と、苦境を共に乗り越えた者同士にしか分からない揺るぎない絆が存在していた。