関西地方のお雑煮を象徴する最大の特徴は、「白味噌仕立て」と「焼かずに煮る丸餅」の組み合わせです。平安時代の宮中で行われていた「歯固めの儀(硬いものを食べて長寿を祈る儀式)」に由来し、神饌として供えられた餅や大根、里芋などを一つの鍋で煮て食したことがお雑煮の歴史の始まりとされています。
室町時代以降、京都の上流階級において貴重だった米麹たっぷりの白味噌が祝い事のハレの料理として定着しました。円満を象徴する「丸餅」を用い、焼かずに汁の中で柔らかく煮溶かすように仕上げる作法は、「角を立てず、すべてが丸く収まるように」という人々の祈りそのものです。
対する関東風は、武家社会の価値観が根底にあります。「角餅」を使うのは「敵をのす(延す)」という縁起担ぎや、一度に多くの餅を切り分けられる実用性から広まりました。また、武士が「味噌をつける(失敗する・面目を失う)」ことを極端に嫌ったため、すまし汁仕立てが主流となった経緯があります。