時計の針を少し巻き戻すと、2019年に大阪府東大阪市のセブン-イレブン加盟店オーナーが人手不足に苦悩した末、自主的に時短営業に踏み切った事件が社会問題化しました。このセブンイレブン時短実験の経緯を経て、経済産業省の有識者検討会が主導する形で本部主導の「一律24時間営業の義務付け」は見直しの途につきました。大手各社は加盟店との協議に基づき、希望店舗での時短実験や契約変更を認めるガイドラインを整備したのです。
しかし、制度改革から年月が経過したコンビニ時短営業の現状を見渡すと、実際に営業時間を短縮した店舗は業界全体で数%程度にとどまります。この事実は、世論が抱く「オーナーは本部から無理やり24時間営業を強いられている」という単眼的な図式だけでは説明がつきません。多くの加盟店が自らの経営判断として、結果的に夜間営業を選び取っている現実が存在します。
現場取材で見えてくるコンビニ24時間営業をやめない理由の核心は、「店を閉めることによる見えないオペレーションコストの爆増」です。深夜帯を休業する場合、閉店時の防犯施策、深夜配送トラックの鍵預かり納品ルートの再編、レジ締め作業、そして翌朝の開店準備に膨大な工数が割かれます。ある関東地方のオーナーは「営業を止めると、朝6時の開店直前に品出しや鮮度チェックが一気に集中し、かえって睡眠時間が削られて疲弊した」と証言します。開けておくこと自体が、翌日の営業を円滑に回すための「作業場」として機能しているのです。