ビジネスの現場で頻出するコミュニケーションのトラブルにおいて、「堂々巡り」と最も混同されやすい概念が「水掛け論」です。この2つは現象としても心理状態としても決定的な差異を抱えています。
水掛け論との違いは、対立の「軸」と「証拠の有無」にあります。水掛け論は双方が自己の正当性のみを感情的に主張し合い、根拠が薄弱なまま平行線をたどる「不毛な罵り合い」を指します。狂言の演目『水掛聟(みずかけむこ)』で田んぼの水を巡って互いに水を掛け合った滑稽な争いに由来し、決着をつける意思すら希薄な状態です。一方の堂々巡りは、双方が合意や解決を目指して真剣に言葉を交わしているにもかかわらず、前提条件の矛盾や選択肢の堂々たる循環によって、結果として元の位置に戻ってしまう構造的な不全を指します。
言葉の解像度をさらに高めるため、関連する類義語・言い換え表現、そして対義語との相関を以下の比較表に整理しました。
なお、日常の表現における対義語としては、劇的な「一瀉千里」や「破竹の勢い」だけでなく、「進展」「進捗」「妥結」「落着」といった着実な歩みを示すボキャブラリーが適しています。