ネット上の議論でよく見られる「信号待ちなどで止まっている時に操作すれば絶対に違反にならない」という認識には、現場実務上の大きな落とし穴が存在します。停止中のスマホ操作と注意点を正確に理解しておかないと、思わぬ形で警察官の指導対象となるケースがあります。
確かに道路交通法の条文上、「停止している間」のスマートフォン操作は処罰の対象外と明記されています。しかし、実務で問題となるのは「完全に安全な状態で停止しているか」という点です。例えば、車道の左端で赤信号待ちをしている際、サドルにまたがったまま片足だけを地面につけ、スマホの画面に没頭しているケースを考えてみましょう。
この状態で信号が青に変わったことに気づかず後続の自転車や自動車の進行を妨害したり、画面を見ながらブレーキを緩めて車体が数十センチでも前に動いたりした瞬間、それは「走行中のながらスマホ」とみなされます。さらに、横断歩道の手前や交差点内の危険な位置でスマホ操作のために立ち止まる行為は、周囲の交通を阻害するとして警察官から直接の警告を受ける原因となります。スマホを操作する際は、「交差点や車道から離れた安全な歩道脇や駐車スペースに寄せて、完全に足を着いて停車する」ことが絶対条件です。
もう一つの盲点が、音声ナビを聞くための「イヤホン」の扱いです。スマホホルダーの画面を見ない対策としてイヤホンを導入する人が増えていますが、両耳を完全に塞ぐカナル型イヤホンやノイズキャンセリング機能の使用は、各都道府県の道路交通法施行細則(東京都道路交通規則など)で禁じられている「安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえない状態での運転」に該当し、反則金5,000円(青切符)の対象となります。音声案内を利用する場合は、必ず周囲の環境音がクリアに聞こえる「オープンイヤー型」や「骨伝導型」の機器を選び、適切な音量に抑える必要があります。