券売機の筆頭に君臨する看板メニューが「濃厚牡蠣ソバ」です。着丼した瞬間に立ち上る濃密な磯の香りと、表面がきめ細かく泡立ったクリーミーなビジュアルは、まるで高級フレンチのオイスターポタージュを彷彿とさせます。
スープを口に含むと、牡蠣特有の強いグリコーゲンとコハク酸の濃厚な旨味が舌全体に広がり、後から下支えする豚骨や鶏のまろやかなコクが追従します。重層的な出汁をしっかりと受け止めるのは、名門・菅野製麺所の中太ストレート麺。適度なもっちり感と歯切れの良さを兼ね備え、スープを余すことなく口元へと運びます。低温調理でしっとりと仕上げられたチャーシュー、彩りとほのかな苦味を添えるカイワレ、そして途中で爽快なリフレッシュをもたらす柑橘のアクセントが計算され尽くした一杯です。
そして、常連客のほぼ100%が同時に注文すると言っても過言ではないのが名物サイドメニューの「貝めし」です。貝の出汁で炊き上げられたご飯の上に刻まれた貝身が乗り、そのままでも風味豊かですが、麺を食べ終えた後の濃厚スープをレンゲで数杯回しかけ、おじや風にしてかき込むことで真価を発揮します。濃厚な牡蠣スープと出汁ごはんが口内で融合する瞬間は、この店でしか味わえない至福のフィナーレと言えます。