彼女を取り巻く背景を語る上で欠かせないのが、日本経済と文化史に名を刻む圧倒的な一族の存在だ。高祖父は阪急電鉄や宝塚歌劇団を立ち上げ、日本のエンターテインメントの礎を築いた小林一三である。さらに、東宝の元社長や会長を歴任した名士たちが親族に名を連ねる。
つまり彼女の身体には、宝塚を生み出した創業者そのものの遺伝子が脈々と流れている。しかし本人は、その血統を鼻にかけることなど一切ない。むしろ先祖が遺した文化遺産への深い敬意を胸に、誰よりも厳しい稽古に身を投じる姿勢を貫いている。華麗なる家系図は彼女にとって威光ではなく、表現者としての誠実さを求める原動力なのだ。