アオリイカの締め作業で初心者がつまずきやすいのが、「どこを刺せばいいのか分からない」という点です。イカの脳・中枢神経節は、頭部(目と目の間)の極めて限られた領域に集中しています。ここを起点として「胴体側(外套膜)」と「ゲソ側(頭・腕部)」の2箇所へ向けて神経が伸びているため、作業は基本的に2ステップで行います。
現場で確実に決めるための標準的な手順は以下の通りです。
ステップ1:胴体側の神経遮断(上方向へのアプローチ)
アオリイカを安定した平らな場所(クーラーボックスの天板やすのこ上)に置き、目と目の間のやや胴寄りにある急所を確認します。締め具(ピック)の先端を、胴体の中央内部に向けて約45度の角度で斜め上に突き刺します。神経に命中すると、刺した瞬間に胴体全体が「サッ」と一瞬で茶色から真っ白に脱色します。
ステップ2:足・ゲソ側の神経遮断(下方向へのアプローチ)
続いて、同じ刺し穴、または目と目の間のやや下側から、今度は足の付け根(吸盤側の中央)に向けて斜め下45度の角度でピックを差し込みます。こちらも命中した瞬間に、足全体が脱色して白くなり、吸盤の吸着力が完全に失われてダラリと脱力します。
両方の部位が白くなれば神経締めは完全成功です。大型の親イカ(1kg〜2kg超級)の場合は外套膜が厚いため、ピックを奥深くまで差し込み、少し刃先を左右にひねるように動かすと神経節を確実に捉えることができます。