事件発生からわずか5日後の2014年3月13日、Jリーグの村井満チェアマン(当時)は緊急記者会見を開き、浦和レッズに対してJリーグ規約第160条に基づく「無観客試合(リモートマッチ)」およびけん責という極めて重い処分を科すことを発表しました。
この異例の厳罰が下された背景には、以下の決定的な理由が存在します。
第1に、差別的行為に対するゼロ・トレランス(一切容認しない姿勢)です。FIFAの規約では人種差別に対して厳格な制裁が定められており、Jリーグとしても曖昧な幕引きを許せば、国際サッカー界からの信用を失墜させかねない危機的状況でした。
第2に、クラブ側の初動対応における重過失です。サポーターから通報があったにもかかわらず、試合終了まで横断幕を掲出し続けさせた警備体制と危機管理能力の欠如が、極めて重く受け止められました。
この裁定を受け、同年3月23日に埼玉スタジアムで開催された清水エスパルス戦は、観客を一切入れない異様な静寂の中で行われました。チケット代の払い戻しや関連売上の消失など、クラブが被った直接的な経済損失は約1億円以上に達したと推計されています。