江東区を長年悩ませてきたのが、区内の「南北の移動手段の乏しさ」だ。東西に走る東西線や新宿線に対し、南北を縦断する鉄道網が極端に少なかった。しかし、2030年代半ばの開業を目指して着工された有楽町線延伸(地下鉄8号線)プロジェクトが、2026年現在、沿線の街並みをすでに変え始めている。
新駅が設置される予定の枝川周辺や千石エリアでは、古い倉庫や町工場が次々と姿を消し、中規模のマンションや商業施設への建て替えが急ピッチで進む。不動産関係者は「これまでは『陸の孤島』と揶揄されることもあったエリアだが、新駅効果を見越した先行投資が相次いでいる」と明かす。単なる通勤利便性の向上にとどまらず、これまで分断されていた「深川エリアの下町文化」と「豊洲エリアの湾岸カルチャー」が物理的につながることで、新たな経済・文化圏が生まれつつある。