イグアナは人に懐くのか?知能の真実と慣れる違い・飼育の盲点を解明

イグアナは人に懐くのか?知能の真実と慣れる違い・飼育の盲点を解明

イグアナは人に懐くのか?知能の真実と慣れる違い・飼育の盲点を解明について徹底解説いたします。専門家の見解をお届けします。

爬虫類愛好家の間で長年議論の的となってきた「イグアナは懐くのか」という問いに対し、動物行動学および比較神経解剖学の観点から導き出される答えは極めて明快です。イグアナは人間に対して情愛や忠誠心をもって「懐く」ことはありません。しかし、高度な認知学習能力によって人間を安全な同居者として認識し、警戒心を極限まで解く「慣れる(馴化・じゅんか)」という状態には確実に到達します。

哺乳類である犬や猫は、大脳辺縁系が高度に発達しており、群れの仲間や親兄弟との間でオキシトシンなどのホルモンを介した情緒的愛着を形成します。これが人間に対する「懐く」という現象の正体です。一方で、グリーンイグアナをはじめとする爬虫類の脳は、生き残るための本能的な反射や環境適応を司る脳幹や大脳基底核が大部分を占めており、感情を伴う仲間意識を育む構造を持っていません。野生下におけるイグアナは単独行動を基本とし、縄張り意識が極めて強く、他者との関わりは繁殖期や日光浴の場所争いなどに限られます。

では、飼育者が体感する「爬虫類がなつく瞬間」とは何を意味しているのでしょうか。ケージの扉を開けた際に自ら腕によじ登ってきたり、膝の上で目を細めて動かなくなったりする行動は、人間への愛情表現ではなく「この巨大な生物は自分に危害を加えない」「この場所は適度に暖かく、高所で見晴らしが良いため安全である」という損得の学習結果です。餌の配給者としてのポジティブな記憶の蓄積が警戒心を上回ったとき、人間側の目にはあたかも懐いているかのように映るのです。この「懐く」と「慣れる」の構造的差異を取り違えると、後述する重大な事故を引き起こす契機となります。

山田 真由
著者

山田 真由

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