「数十分前までは1匹もいなかったのに、気づいたら数百匹が飛び交っていた」という現象は、昆虫生態学において「群飛(スウォーム)」と呼ばれる繁殖行動です。巣の中にいる個体数が限界まで増加した際、次世代の女王蟻と雄蟻が新しい巣を作るために一斉に飛び立ちます。
羽蟻が飛翔する引き金となるのは気象条件です。とりわけ雨上がりの蒸し暑い日は、羽が乾燥して傷つくのを防ぎつつ、外敵から身を守りながら湿った木材や土壌へ着地できる絶好の環境となります。気温が20℃〜28℃前後、湿度が70%以上へ跳ね上がった日中や夕方に集中して発生するのはこのためです。
ここで極めて重要なのが「発生場所の特定」です。羽蟻が室外から窓や換気扇の隙間をすり抜けて侵入してきたのか、それとも床下、畳の隙間、柱の継ぎ目など室内そのものから湧き出しているのかによって、事態の深刻度は180度異なります。室内から這い出している場合、すでに床下の土台や構造材が食害され、木材の内部が空洞化しているリスクを疑わなければなりません。