日本列島において、複婚は法律上完全に封じられている。刑法第184条に定められた「重婚罪」の存在がその証拠だ。婚姻届を重複して受理されることは行政システム上あり得ず、違反すれば2年以下の拘禁刑が科される。しかし、法律の網をかいくぐるグレーゾーンは確実に広がっている。
実態調査を進めると、戸籍上は単身でありながら、複数の女性と同居し実質的な共同生活を送る男性たちのコミュニティが首都圏近郊や地方の限界集落に点在していることが判明した。「自由な合意に基づくポリアモリー」を自称する者もいれば、精神的な信条をテコに疑似家族を強いる者もいる。住民票の世帯分離や事実婚の仕組みを悪用し、税制や社会保障の恩恵をかすめ取る手口すら報告されている。
法務省の担当官も、プライベートな生活様式に国家がどこまで踏み込めるかという難題に頭を抱える。婚姻届という紙切れ一枚を提出していなければ、重婚罪の構成要件には当たらないからだ。だが、その閉ざされた扉の奥で子どもが生まれたとき、認知の問題や養育の不透明さが次世代に重くのしかかる。