京都の老舗和菓子店がひしめく中で、なぜ「甘栗」一筋の林万昌堂がこれほど長きにわたり別格の支持を集め続けるのか。その理由は、徹底した素材へのこだわりと、門外不出の焙煎技術にある。
林万昌堂で扱われる栗は、中国河北省の燕山山脈周辺で収穫される極上の「河北栗子(かほくりし)」。小ぶりながら実が引き締まり、果肉の糖度が高く風味が極めて豊かな品種だ。同店では現地での選別段階から厳格な基準を設け、さらに国内へ届いた後も職人の手で一粒ずつ選別を行っている。
焼き上げの工程も機械任せではない。四条本店の奥に据えられた専用の回転釜で、熱した石と少量の水飴を加えながら、職人が豆炭の火力と栗の水分量を五感で見極めて直火焙煎する。皮が薄く、指で軽く押すだけでパキッと割れて黄金色の果肉がつるりと顔を出す。外側の香ばしさと、栗本来の素朴で濃厚な甘みが口いっぱいに広がる瞬間は、他では決して味わえない感動を生み出している。