ジュリップ・エイエスエイ・アル氏(本名:A.S.M. Jurip)の経歴を振り返ると、バングラデシュ出身の外国人として日本で生活基盤を築き、複数の飲食店経営や貿易関連の仲介に関わっていた過去が浮かび上がります。愛娘であるローラがバラエティ番組でブレイクし、トップモデルとしてテレビで見ない日がないほどの絶頂期を迎えていた最中、突如として暗雲が立ち込めました。
2012年から2013年にかけて、警視庁組織犯罪対策班が内偵を進めていたのが「国民健康保険の海外療養費制度」を巡る組織的詐欺事件です。制度上、日本国内の健康保険加入者が海外渡航中に病気や怪我で治療を受けた際、帰国後に申請すれば現地での医療費の一部が払い戻される仕組みが存在します。ジュリップ氏はこれに目をつけ、バングラデシュ国内の病院で入院治療を受けたとする虚偽の診断書や領収書を偽造。約98万円に及ぶ療養費を自治体から不正に詐取した容疑が浮上したのです。
捜査の手が伸びる直前に日本を出国したことで、警視庁はICPO(国際刑事警察機構)を通じて国際手配を実施。トップタレントの父親が国際指名手配されるという異例の事態は、連日トップニュースとして報じられました。最終的にジュリップ氏は2014年10月、成田空港に自ら帰国・出頭する形で逮捕され、日本中を巻き込んだ逃亡劇は幕を閉じました。