ペンギン体操のブームを語る上で欠かせないのが、福音館書店の人気幼児絵本『ぺんぎんたいそう』(絵本作家・齋藤槙 作)の存在です。愛らしいペンギンがユーモラスに身体を動かすこの作品は、多くの園で読み聞かせの定番となっており、そこから身体表現へと自然に発展していきました。子どもたちが夢中になる背景には、明確な3つの仕掛けがあります。
第1に、「視覚的なわかりやすさと真似しやすいフォルム」です。ペンギンの体型は、ぽっこりとおなかが出た乳幼児の体型と驚くほどシンクロしています。子どもにとって、複雑な手足の動きを伴う体操は真似が難しいものですが、丸みのあるペンギンが左右に体を揺らす動きは直感的に把握でき、本能的な模倣欲求を刺激します。
第2に、「絶妙な間(ま)と心地よいオノマトペ」が挙げられます。「いきをすって〜、はいて〜」「うでをふって〜、パタパタ」といったリズミカルなフレーズは、言語発達の途上にある乳児の耳に心地よく響きます。動きと音(言葉)が1対1で結びついているため、言葉の意味を深く理解していなくても、リズムに合わせて身体が勝手に動き出すのです。
第3に、「静と動のコントラストが生み出すワクワク感」です。ゆっくり深呼吸する「静」の動作から、パタパタと腕を振る「動」、そして最後の「ジャンプ!」という大きな跳躍へと向かう構成が、子どもの心拍とテンションを自然に高めていきます。