「誰も見たことがない、けれど誰もが知っている痛みを表現したかった」。独占インタビューに応じた監督は、静かながらも情熱的な口調で語り始めた。企画立ち上げから3年。現場は常に極限状態だったという。特に脚本の推敲には1年以上の歳月が費やされ、登場人物の一言一句に至るまで妥妥なき議論が交わされた。
さらに、制作関係者からの内部リークによって、現場での知られざるエピソードも浮かび上がった。「背景美術の1カットに3ヶ月を費やしたグラフィックチームがありました。主人公が歩く雨上がりの路面、そこに映り込む街灯の反射光ひとつをとっても、レンズの絞り値まで計算して作られているんです」。現場の鬼気迫る情熱が、画面のすみずみにまで宿っていることは疑いようがない。