そもそも、この聖人にまつわる物語とはどのようなものなのだろうか。伝承によれば、3世紀頃の人物とされるオフレル(後のクリストファー)は、並外れた巨体と強靭な肉体を持つ男だった。彼は世界で最も強い王に仕えることを望み、最終的にキリストに仕える道を選んだという。
彼が選んだ奉仕の形は、増水した危険な川を渡る旅人を背負って対岸へ運ぶことだった。ある嵐の夜、ひとりの小さな少年を背負って川に入った。しかし、足を進めるごとに少年の体重は地球そのものを背負っているかのように重くなり、川の濁流も激しさを増した。命からがら対岸にたどり着いた彼に、少年は正体を明かす。「私はあなたが背負ったキリストであり、世界そのものである」。ギリシャ語の「クリストフォロス(キリストを背負う者)」に由来する名前は、この劇的な伝説から生まれた。
命がけで川を渡らせるその姿から、彼はあらゆる交通手段で移動する者、航海者、そして旅行者の護符として崇められるようになった。