NHKの人気番組『美の壺』や、そのアーカイブを配信するNHKオンデマンドでも、我谷盆をフィーチャーした回は今なお高い関心を集め続けている。映像のなかで視聴者を魅了したのは、光の角度によって刻一刻と表情を変える彫り跡の陰影だ。
制作に用いられる栗材は、タンニンを豊富に含むため、年月を経るごとに渋い飴色から濃密な黒褐色へと変化を遂げる。丸ノミを一彫り打ち込むごとに刻まれるリズミカルな凹凸が、部屋の照明や自然光を受けて深みのある陰影を創出。均質化された現代製品にはない、独特のゆらぎと存在感がそこにある。