日本の住宅において、トイレの広さは一般的に「坪数(畳数)」で表現される。しかし、木造戸建て住宅と鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションでは、同じ「標準サイズ」と謳われていても壁の内寸(有効寸法)に無視できない差が生じる。
戸建てで最も普及しているのは0.5坪(1畳)タイプだ。柱の芯々寸法で910mm×1820mm、石膏ボードと壁紙で仕上げた実際の内寸は幅約780〜800mm、奥行き約1650〜1700mmとなる。この奥行きがあれば、一般的なタンク付き便器を設置しても前方空間に500mm以上のゆとりが残り、窮屈さを感じることはまずない。
一方、マンションで主流を占めるのは0.4坪(約0.8畳)タイプだ。内寸は幅約780mm、奥行き約1200〜1350mmと、戸建てに比べて奥行きが300mm以上も短いケースが目立つ。ここに奥行き760〜790mmほどある従来型のタンク式トイレを据え付けると、便器先端からドアまでの距離が400mmを切り、立ち座りのたびに圧迫感を強いられる。日本産業規格 (JIS) でも衛生器具の使い勝手を考慮した空間確保が示されているが、既存の躯体壁を動かせない集合住宅では、数センチ単位のミリ刻みな計算が生死を分ける。