制作過程の厳重な情報管理にもかかわらず、本編からカットされた約7分間に及ぶ未公開シーンの存在が映画関係者の間で囁かれている。それは、主人公とライバルが雪深い廃寺で対峙する幻のワンカット長回しシーンだ。極寒のなかで3日間にわたり撮影されたものの、全体のテンポ感を最優先した監督の英断によって惜しくも本編から外されたという。
「息が凍りつくような寒さの中、トニーさんは指先の感覚を失いながらも刀を握り続けていた」。共演者がそう振り返る過酷なロケーション撮影。CGに頼らず、本物の雪と風のなかで紡がれた映像美は、たとえ未公開となった断片であっても現場に強烈な記憶を刻みつけた。こうした妥協なきクラフトマンシップの積み重ねが、作品全体の凄みとなって表れている。