この池のもう一つの大きな特徴は、水底に沈む数々の倒木だ。通常の淡水域であれば、倒れた木々は微生物や菌類によって分解され、数年も経てば泥状になって姿を消す。しかし、ここにある幹は皮が剥がれ落ちた滑らかな白木の姿のまま、何十年もの間その形を保ち続けている。
その鍵を握るのが、一年中変化しない「約8度」という低い水温だ。湧き出る地下水の温度が極めて安定しているため、水中の微生物の分解活動が大幅に抑制される。さらに、有機物の蓄積が少ない貧栄養な水質が重なり、倒木は腐食を免れる。静澄な青い水底に太古の木々がそのまま横たわる光景は、まさに自然が作り出したタイムカプセルと言える。