なぜこの彫刻は「しんぴてき」と形容され、プレイヤーを惹きつけてやまないのでしょうか。その疑問を解き明かす鍵は、神秘的な彫刻の元ネタと真相にあります。本作のモチーフは、ドイツのベルリン新博物館所蔵として世界的に名高い、古代エジプト第18王朝の王妃を描いた石灰岩彫刻「ネフェルティティの胸像」です。
紀元前1345年頃、宮廷彫刻家トトメスによって制作されたとされるこの胸像は、ファラオ・アクエンアテン(アメンホテプ4世)の正妃であり、ツタンカーメンの義母にあたるネフェルティティの美貌を今に伝える奇跡の遺産です。しかし、この実物彫刻には美術史上最大の謎が残されています。それは「右目には黒色を施した水晶の瞳が嵌め込まれているのに対し、左目の眼窩は空洞のまま白く抜けている」という不可解な特徴です。
当時の発掘調査記録や美術史家の分析では、「トトメスの工房で弟子たちに教えるための見本用彫刻だったため、左目をあえて未完成のまま残した」という説や、「王妃の失脚あるいは目の疾患を反映した」という異説まで様々な議論が交わされてきました。あつ森のモデリング開発陣はこの史実を完璧にトレースしており、「左目に瞳がない状態」こそが本物の正しい造形となっています。この史実を知らないプレイヤーが「左目に瞳が入っていないから偽物だ」と早合点してしまうケースが後を絶ちません。