公式のスペックシートだけでは見えてこない、当時の実際の利用感はどうだったのでしょうか。通い詰めていた元会員たちの証言や、ネット掲示板・SNSに蓄積されたリアルな口コミを分析すると、熱烈な賛辞とともに巨大施設ならではの課題も浮かび上がってきます。
「どんなに混雑する平日の夕方でも、ベンチプレスやスクワットラックが埋まりきることがなく、自分のペースを乱されずにトレーニングできた。あのストレスフリーな広大さは唯一無二だった」(30代男性・元十三会員)
「女性専用エリアが独立していて、ヒップアップ用のアタッチメントや小型ダンベルが揃っていたので、初心者でも気後れせずに通えた。筋トレ後にホテルのサウナで汗を流して帰るのが最高のルーティンだった」(20代女性・元十三会員)
現場観察で確認された光の側面が「混雑知らずの超広大フロア」と「充実したリカバリー環境」であったことは間違いありません。一方で、ヘビーユーザーからも時折指摘されていた盲点がいくつか存在しました。
第一に、阪急十三駅から徒歩約8分という距離感です。駅前商店街を抜け、ホテルプラザオーサカへ向かうルートは、天候が悪い日や多忙なビジネスパーソンにとって地味なハードルとなっていました。第二に、1,000坪というあまりの広さゆえに、ロッカーからプール、マシンエリアへの移動動線が長く、手軽に短時間で済ませたい層にはやや持て余す構造だった点です。時代の流れが「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「駅近24時間」へと急速にシフトするなかで、このスケール感の大きさが逆に足枷となっていった側面は否定できません。