ルートビア(Root Beer)は、アメリカ合衆国を発祥とする完全ノンアルコールの炭酸飲料です。「ビア」という単語が含まれていることから、日本の酒税法上のビールや発泡酒のようなアルコール飲料を想像する読者も少なくありませんが、子どもからドライバーまで安心して飲用できる清涼飲料水に分類されます。
その歴史と発祥は、19世紀中頃のアメリカ北米大陸にまで遡ります。もともとはアメリカ先住民が健康維持のために木の根(ルート)や樹皮、野草を煎じて飲んでいたハーブティー文化が原型でした。これを1866年、薬剤師のチャールズ・ハイアーズ(Charles Hires)が独自のレシピで粉末やシロップとして調合し、フィラデルフィアの万国博覧会で「ルートビア」として大々的に売り出したことが近代商業化の端緒です。
当時は健康志向の家庭薬トニックとしての色彩が強く、1920年代にアメリカ全土を揺るがした「禁酒法」の時代に爆発的な普及を見せました。ビールを飲めなくなった大衆が、ビールのような豊かな泡立ちと濃厚な喉越しを持つ代替飲料としてルートビアを熱狂的に受け入れた経緯があります。
主原料となるのは、熱帯植物の「サルサパリラ」の根やリコリス(甘草)、バニラビーンズ、ナツメグ、シナモン、ジンジャーなど、十数種類から三十種類以上におよぶ天然ハーブやスパイスのエキスです。そこに砂糖や果糖ぶどう糖液糖で深いコクと甘みを加え、炭酸ガスを溶炭させることで、力強い甘みと爽烈なハーブの後味が共存する唯一無二の味わいが完成します。