名字の議論においてもう一つ重要なのは、古代・中世の「渡来人」と、近代以降の「帰化者」の混同です。
古代日本(飛鳥時代や奈良時代など)には、朝鮮半島や中国大陸から優れた技術や文化を持った渡来人が多数移住しました。彼らは朝廷から「秦(はた)」「漢(あや)」「高麗(こま)」などの氏(ウジ)や姓(カバネ)を賜り、長い歴史の中で「羽田」「服部」「高田」など様々な日本の苗字へと分派・定着していきました。
これらは千数百年にわたり日本列島の歴史と文化を形作ってきた伝統的な名字であり、近代・現代の帰化手続きで名乗られる名字とは時間軸も文脈もまったく異なります。歴史的な渡来人ルーツの苗字と、現代の帰化者が選ぶ名字をごちゃ混ぜにしたネット上の言説には、十分な注意が必要です。