万博開催期間中、会場内を巡回する警備スタッフが最も対応に追われたのは、目立たない陰での隠れ喫煙対策だったという。「大屋根リングの陰や人工島の護岸沿いで煙が上がっているとの通報が連日相次ぎました」。当時、現地で安全誘導にあたっていた元スタッフは苦渋の表情で振り返る。
会場内での加熱式タバコを含む全面禁煙措置は、国際博覧会としてはきわめて厳しい水準だった。しかし、連日十数万人におよぶ来場者が詰めかける中で喫煙欲求を制御しきれない一部層が突発的なルール違反に走り、植え込みや屋外便所の個室内での悪質な放置火災リスクまで誘発。敷地内をクリーンに保つためのルールが、かえってセキュリティ上の脆弱性を生み出すという本末転倒な事態を招いた。