今でこそ完璧なキャスティングと絶賛されるエミリー役ですが、そのエミリー・ブラント オーディション 経緯は、ハリウッドの歴史でも稀に見る偶然とハプニングの連続でした。
当時20代前半だったエミリー・ブラントは、ファンタジー超大作『エラゴン 遺志を継ぐ者』のオーディションのためにロサンゼルスに滞在していました。しかし結果は不合格。落胆と疲労の極致にあった彼女は、ロンドンへ帰国するフライトの直前、同じスタジオの別室で行われていた『プラダを着た悪魔』のテープ審査に立ち寄るよう代理人から指示されます。当時の彼女は、ハイファッションを扱う映画とは正反対の「よれたジーンズとスニーカー、乱れた髪」という無防備な出で立ちでした。
「飛行機に乗り遅れそうだったから、とにかく早く終わらせたかった」と後に本人が特番インタビューで回想した通り、その焦りと不機嫌さが、奇しくもミランダに怯えながら多忙を極める第一アシスタントの神経質なトーンと完全にシンクロ。デヴィッド・フランケル監督は一目で彼女の才能を見抜いたものの、スタジオ幹部からは「スタイリッシュな役柄に合わないのでは」と難色を示されました。しかし監督は諦めず、ロンドンに戻った彼女に「もう一度、少しきちんとした服を着て演じてほしい」と再テストを依頼。再提出されたテープを見た伝説の女優メリル・ストリープが「この子は素晴らしい。絶対に彼女にするべきだ」と太鼓判を押したことで、運命の抜擢が決定したのです。