傷跡のカバーは、その状態によってアプローチが根本から異なります。傷跡隠しメイクの分野では、日本自傷リストカット支援協会等の支援団体や、メディカルメイクアップアソシエーション、かづきれいこ氏が提唱する「リハビリメイク」の臨床ノウハウが広く実証されています。また、米国ロサンゼルスの皮膚科医R. ソニア・バトラ医師(R. Sonia Batra, MD)ら専門医も、傷跡の状態に応じた適切な保護と光学的なカモフラージュの有用性を認めています。
傷のタイプに応じた具体的なカバーテクニックは次の通りです。
- 擦り傷跡黒ずみ対策・色素沈着カバー:メラニン沈着による茶褐色の跡には、肌色と同じファンデーションを重ねてもグレーに濁って浮き出てしまいます。色彩理論に基づく「補色(オレンジ・ピーチ系)」のボディ用コンシーラーを薄く叩き込み、黒ずみを中和させた上から肌色に合わせたオークル系を重ねる「2層塗り」が極めて有効です。
- 赤みの強い新しい傷跡・打撲アザ:炎症や毛細血管拡張による赤みには、イエローからグリーン系のコントロールカラーを下地に仕込みます。その上からウォータープルーフ仕様のファンデーションをスポンジで垂直にタッピングすることで、厚塗り感を出さずに赤みを完全消去できます。
- ケロイド隠す方法・肥厚性瘢痕の凹凸対策:盛り上がりのあるケロイドは、光の当たり方で生じる「影」が目立つ原因になります。ツヤ感のある化粧品を避け、完全に光を乱反射させるマットな質感のフィニッシングパウダーを使用します。また、摩擦刺激から患部を守るために医療用のマイクロポアテープやアトファインをベースに貼り、その上からテープと同系色のコンシーラーを重ねる物理的フラット化が効果的です。