街で見かけるさくらねこを観察すると、右耳がカットされている個体と、左耳がカットされている個体がいることに気づきます。この左右の違いには、現場における明確な運用ルールが存在します。
公益財団法人どうぶつ基金が発行する不妊手術チケット事業や、全国の多くの動物病院・保護団体が採用している標準規格では、以下のように性別が区分されています。
- 右耳のカット(正面から見て左側の耳):オス猫(去勢手術済み)
- 左耳のカット(正面から見て右側の耳):メス猫(避妊手術済み)
この基準が厳格に守られていることで、地域猫ボランティアや自治体の担当者は、遠隔地から双眼鏡で観察したり、一定の距離を保った状態であっても「どの縄張りに、どちらの性別の未手術猫が残っているか」を迅速かつ正確に把握できます。捕獲計画を立てる際、未手術のメスを優先的に保護するなど、活動の効率化と猫への負担軽減に直結しています。
ただし、現場取材においては例外的なケースも確認されています。自治体や個人の動物病院によっては、過去のローカルルールで「オスが左、メスが右」と逆に定めていた歴史的経緯があったり、左右を区別せず一律に右耳のみをカットしている地域も存在します。また、もともと喧嘩等で右耳が大きく破損していた個体の場合、識別性を担保するためにあえて健全な左耳をカットするケースもあります。左右の基準は絶対的な法的拘束力を持つものではなく、あくまで「9割以上の現場で共有されている実践的ガイドライン」として捉えるのが正確です。