「あれほど賑わっていたコートが、なぜ突然姿を消したのか」――インターネット上では一時、採算悪化による撤退や親会社の業績不振といった憶測が飛び交いました。しかし、現地取材と登記情報、業界動向を精査すると、まったく異なる事業力学が浮かび上がってきます。
最大の決定打となったのは、土地の定期借地契約の期間満了です。民間事業者が運営する屋外型スポーツ複合施設は、その多くが20年から30年スパンの事業用定期借地権を設定して用地を確保しています。ミズノスポーツサービス株式会社が運営を手掛けた同施設も、開設から所定の契約年限を迎え、地権者との契約更新交渉や原状回復義務の履行という法的な節目に直面しました。
折しも施設全体の人工芝張替えやナイター照明のLED化、クラブハウス設備の老朽化更新など、数千万円から億単位の大規模修繕投資が必要とされる時期と重なっていました。運営元は投下資本の回収期間と将来の人口動態、公営施設の料金水準を総合的に天秤にかけ、契約延長を行わずに完全撤退・敷地返還という苦渋の経営判断を下したのが閉館劇の真相です。
2026年現在の敷地は、すでにコートやクラブハウスの解体撤去が完了して更地化され、敷地境界には管理フェンスが設置されています。かつて緑色の砂入り人工芝が広がり、夜間照明に照らされていた情景は消え去り、静けさに包まれています。