リハビリ職を巡る言説の中には、現場の実態とかけ離れた根強い偏見や都市伝説が横行しています。後悔のない進路選択を行うために、代表的な3つの誤解を是正します。
誤解1:「理学療法士のほうが作業療法士より格上」という序列意識
医療ドラマやニュース報道では、歩行訓練を指導するPTがスポットを浴びやすく、一部で「PTが主役でOTは補助」という誤った上下関係のイメージが語られることがあります。しかし、医療法および診療報酬制度において両職種は完全に同格の専門職です。実際の病棟カンファレンスでも、PTが下肢の運動機能を報告し、OTが日常生活動作(ADL)の自立度を提示して退院後の生活支援プランを対等に議論します。職種間の優劣は現場には存在しません。
誤解2:「作業療法士は折り紙や手芸をやっているだけ」という矮小化
OTの訓練室で見かける革細工、編み物、絵画といった作業療法を、「単なる暇つぶしやレクリエーション」と誤解する一般人は少なくありません。しかし、これらは最新の脳科学と運動力学に基づいた高度な治療手段です。例えば「革細工のトントンという打撃」は、道具を握る握力、手首の角度、手順を記憶・実行する高次脳機能、さらには感情を発散させる心理的カタルシスまでを緻密に計算して処方されています。「手芸をしている」のではなく、「手芸というツールを用いて脳と運動回路を再プログラミングしている」のが作業療法の本質です。
誤解3:「国家資格さえ取れば一生安泰」という神話の崩壊
かつては養成校を卒業して国家試験に合格しさえすれば、1人あたり数十件の求人が集まり、引く手あまただったリハビリ業界ですが、その黄金期は完全に過去のものとなりました。2026年最新の求人倍率と需要動向を見ると、理学療法士・作業療法士の総数はすでに20万人を優に超え、大都市部の有名大学病院や急性期中核病院の採用枠は新卒でも倍率が数倍に達する激戦区となっています。「資格があるから雇われる」時代は終わり、「特定の領域(心臓リハ、脳卒中認定、小児発達、精神科訪問看護など)で何ができるか」を証明できる人材でなければ、希望通りの待遇を獲得することは困難です。