原宿駅の竹下口から北参道方面へ徒歩数分。アパレルやデザイン事務所が点在する千駄ヶ谷エリアの路面で、ひときわ静謐な佇まいを見せていたのがTHINK OF THINGSだ。オープンは2017年5月26日。創業100年を超えるコクヨが、自社の東京千駄ヶ谷オフィス1階を全面リノベーションし、直営の路面店として世に放った一大実験プロジェクトだった。
ブランドの根底にあったコンセプトは「WORK AND LIFE STYLE」。仕事と生活の境界が曖昧になりつつあった時代背景を捉え、事務用品としての「文具」を、生活全般の道具「THINGS」として再解釈・再定義する試みである。ディレクションを担当したのは、コクヨのインハウス・デザインコレクティヴ「YOHAK DESIGN STUDIO」。空間設計からオリジナルプロダクトの企画、グラフィックに至るまで、極めて高い純度で美意識が貫かれていた。
店内には、定番の測量野帳をモダンなカラーリングとタイポグラフィで再構築した限定モデルや、インダストリアルな機能美を持つクリップ、ボックス、レザー小物などの「THINK OF THINGS 文房具」が整然と並んだ。奥には中庭が望めるカフェスペースが広がり、三軒茶屋の焙煎所「OBSCURA COFFEE ROASTERS」が監修したハンドドリップコーヒーと、素朴ながらリピーターが絶えなかった揚げパン(コッペパンサンド)などの「カフェメニュー」が提供されていた。単なるショールームや物販店舗にとどまらず、街に開かれた良質なサードプレイスとして機能していたのである。