2024年5月の静岡県知事選を制した鈴木康友氏の就任により、リニアを巡る環境は劇的な転換期を迎えました。浜松市長時代からリニア推進派として知られていた鈴木知事は、就任直後から「水資源と自然環境の保全」と「リニア推進」の両立を掲げ、JR東海トップとの対話を即座に再開させました。
2026年現在、静岡県とJR東海の協議は従来の感情的な対立から、モニタリング体制の構築や補償協定の締結といった実務的な段階へと移行しています。鈴木知事は流域市町や利水者の意見を丁寧に吸い上げつつ、国交省のモニタリング会議と連携して科学的・工学的なリスク管理を徹底する姿勢を崩していません。
対決姿勢から協調路線への転換により、静岡工区の本格的な調査・準備工事に向けたハードルは着実にクリアされつつあります。とはいえ、南アルプスの極めて脆弱な地質を掘削する難工事であることに変わりはなく、実際の着工から完成までにはなお多くの課題が横たわっています。