庭や私道で疑わしいケシを発見した際、多くの市民が「違法植物なら早く抜いて家庭ゴミに出さなければ」と自己判断で処分しようと試みます。しかし、これこそが法的に最も危うい落とし穴です。
あへん法および麻薬及び向精神薬取締法の法解釈において、根から引き抜いたケシを保管したり、別の場所へ運搬したりする行為は、客観的に「所持」や「不法運搬」の外観を呈してしまいます。仮に善意の駆除であったとしても、移動中に職務質問を受けたり近隣住民から通報された場合、一時的に警察署で任意同行を求められ、事実関係の照会に長時間を費やす事態に発展しかねません。
したがって、自生ケシ発見時の対応として厳守すべき行動規範は以下の通りです。
- 第1原則:絶対に抜かない・触らない・移動させない(アルカロイドによる接触性皮膚炎の防止および法的トラブルの完全回避)。
- 第2原則:スマートフォンのカメラで「全体像」「葉の付け根(抱茎の有無)」「茎の表面」を撮影する(保健所職員が迅速に遠隔鑑別するための証拠保全)。
- 第3原則:発見場所の正確な住所や目印を記録し、直ちに連絡する。
連絡先となるのは、各自治体が設置している保健所通報相談窓口(医薬安全課や生活衛生課など)、または各都道府県の福祉保健局、最寄りの警察署・交番です。専門の資格を持った麻薬取締員や衛生監視員が現地へ赴き、鑑識を行った上で正式な手続きを経て抜去・焼却処分を行います。