「寝ている時に口が開いているだけ」と放置することは、美容面および全身の健康面において取り返しのつかないダメージを蓄積させる結果につながります。
まず外見への影響として懸念されるのが、口呼吸による顔つきのデメリットです。長期間にわたって口呼吸を続けていると、口輪筋や表情筋が常に弛緩するため、下顎が後退して二重アゴになりやすくなるほか、面長な印象を与える「アデノイド顔貌」と呼ばれる特徴的な骨格変化を引き起こすリスクがあります。また、口角が下がり、頬のたるみや深いほうれい線が定着しやすくなるなど、実年齢以上の老け見えを加速させることが美容医療の現場でも指摘されています。
さらに深刻なのが、口腔内環境の崩壊と寝る時に口が開く病気の併発リスクです。唾液には強力な抗菌作用、自浄作用、再石灰化作用がありますが、夜間の口呼吸によって唾液分泌が枯渇すると、虫歯菌や歯周病菌が爆発的に増殖します。朝起きた時の強烈な口臭や、歯周病の急激な進行は開口癖が引き金となっているケースが極めて多いのが実態です。
最も警戒すべき病態が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状です。舌根沈下によって気道が完全に塞がれると、呼吸が数十秒間にわたって停止し、脳や心臓に著しい酸欠負荷がかかります。厚生労働省や日本睡眠学会の報告でも、SASは高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクを数倍に跳ね上げることが証明されています。激しいいびき、日中の耐えがたい眠気、起床時の頭痛がある場合は、単なる癖ではなく病的な閉塞を疑わなければなりません。