結論から述べると、日本国内に北朝鮮大使館は実在しません。この根本的な理由は、日本政府と北朝鮮の間に正式な国交(外交関係)が結ばれていない点に尽きます。
国際法上、国家間に大使館(在外公館)を設置するには、相互の国家承認および外交関係の樹立(ウィーン外交関係条約に基づく合意)が前提となります。日本政府は1965年の「日韓基本条約」に基づき、大韓民国政府を「朝鮮半島における唯一の合法的な政府」と認めており、北朝鮮を国家として承認していません。法的な承認が存在しない以上、治外法権や外交特権を伴う正規の大使館を開設することは法理上不可能なのです。
過去には2002年の小泉純一郎首相訪朝と「日朝平壌宣言」への署名を契機に、日朝国交正常化交渉が本格化し、将来的な国交開設と在外公館の設置が現実味を帯びた時期もありました。しかし、日本人拉致問題の全容解明に関する北朝鮮側の不誠実な対応や、その後に繰り返された核実験・弾道ミサイル発射によって対話は完全に停滞。国交締結の前提条件そのものが崩れ去り、現在に至るまで大使館設置への道筋は閉ざされています。