長きにわたり愛されてきた名作だからこそ、歴代の出演者たちが辿ったその後の人生とキャリアにも関心が集まります。
2003年版で財前の義父・財前又一役を怪演し、圧倒的な存在感を残した西田敏行さんの逝去は、日本エンターテインメント界に計り知れない喪失感をもたらしました。金の力で娘婿を教授に押し上げようと裏工作に奔走しながらも、心底では五郎の才能に心酔し、五郎の死に直面して子供のように号泣する又一の姿は、視聴者の胸を締め付けました。1978年版で同役を演じた曽我廼家明蝶さんもまた、上方喜劇の重鎮としての風格を漂わせており、両者のアプローチはいずれも「親のエゴと愛情」の極致を体現していました。
また、1978年版で東教授を演じた中村伸郎さん、鵜飼医学部長を演じた小沢栄太郎さん、財前の母・きぬ役の加納みゆきさんや島田正吾さん(船尾教授役)など、昭和の名優たちの多くが鬼籍に入られています。彼らが残した重厚なセリフ回しと陰影のある所作は、今なお色褪せない名演の教材として高く評価されています。
一方で、2003年版のキャスト陣の多くは現在も第一線で目覚ましい活躍を続けています。主演の唐沢寿明はシリアスからコメディまでこなす重鎮俳優として確固たる地位を維持し、江口洋介も映画や大作ドラマで円熟味あふれる演技を披露。若き医局員・柳原を演じた伊藤英明や関口弁護士役の上川隆也、国平弁護士役の及川光博など、当時の若手・中堅陣が現在の日本映像界を牽引する主役に成長している点も、本作のキャスティングの先見性を証明しています。