日本の美容医療シーンにおいても、鼻に対する治療哲学は成熟期を迎えている。日本美容外科学会(JSAS/JSAPS)などの学術組織では、顔面の解剖学的アプローチに基づく安全性と、表情の自然さを両立させる手技の標準化が常に議論されている。
かつて美容整形のパイオニアとして業界を牽引してきた高須クリニックの高須克弥氏が「顔全体のバランスと本人の個性を生かすこと」の重要性を説き続けてきたように、鼻だけを切り離して評価する時代は終わった。現代では、業界最大手の湘南美容クリニックをはじめとする大手医療機関が、低侵襲なプチ整形メニューの選択肢を拡充。以前なら大掛かりな手術を勧められていたような悩みに対しても、解剖学に基づいた小鼻ボトックスなどのスマートな選択肢が第一選択として提示されるケースが増加している。
美容整形・フェイスケアという領域は、いまや「原型を壊すもの」から「本来の魅力を引き出し、不要なノイズを抑える微調整」へと進化した。敷居は下がりつつも、医師に求められる解剖学的知識のハードルはむしろ高くなっている。