ネット上のレビューや当時のデータを見ると、「傑作なのに視聴率が振るわなかった」という言説を目にすることがあります。この真偽について、放送当時の特殊な編成状況とデータから実態を検証します。
本作の平均視聴率は17.3%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)。前後の大河ドラマ(『琉球の風』平均17.3%、『花の乱』平均14.1%)と比較すると標準的な数値ですが、1980年代後半の黄金期(『独眼竜政宗』39.7%、『武田信玄』39.2%)と比べると低調に見えるのは事実です。しかし、これには明確な構造的理由が存在します。
- 変則的な放送期間:1993年はNHKの編成改革により、半年枠の『琉球の風』(全23回)に続き、『炎立つ』は7月スタートの「全35回(9ヶ月枠)」という異例のスケジュールで放送された。
- 1990年代初頭のテレビ離れと民放の躍進:トレンディドラマ全盛期と重なり、若年層の視聴習慣が大河ドラマから大きく変化していた時期であった。
当時は視聴率面で苦戦と報じられたものの、放送終了後の映像ソフト化や再放送、さらには中尊寺金色堂を含む「平泉の文化遺産」が2011年に世界遺産へ登録されたことを契機に、「歴史劇としての完成度・時代考証の深さは歴代屈指」という評価が完全に定着しました。視聴率の数字だけでは測れない、時代を超えた普遍的な名作であることが証明されています。