未知子さんの半生を語る上で欠かせないのが、社会人としての極めて堅実な就労実績です。福祉作業所などの保護的な環境にとどまらず、一般社会の第一線で長年にわたり職務を全うしてきました。
特別支援学校を卒業後、未知子さんが就職先として飛び込んだのは大手アパレル企業「ユナイテッドアローズ」などの一般企業でした。洋服への強い関心と几帳面な性格を生かし、店舗の後方支援や商品の値札付け、仕分け、オフィス内の環境整備といった業務を極めて実直にこなしました。遅刻や欠勤を極度に嫌い、毎朝決まった時間に出勤するその勤勉な姿勢は、同僚や上司からも厚い信頼を寄せられていたと伝えられています。
長年にわたる真面目な勤務を経て、定年退職を迎えるまで自力で給与を得て生活基盤を支え続けたキャリアは、日本の障害者雇用における先進的な成功モデルといえます。単なる福祉の受益者ではなく、「誇り高き職業人」として自立を果たした経験こそが、未知子さんの揺るぎない自己肯定感の源泉となっています。